「携帯の形態」 INAX BOOKLET 1993年刊
宝物と言っていい資料
2013.06.28【ツールカードの世界, 工房だより, 雑記】 Comment (0) - Trackback (0)
生活設備メーカーのINAXが発行していたINAX BOOKLETというシリーズがあります。
写真をふんだんに入れて構成されたムック本です。
その中に、「携帯の形態」という号があります。
表紙に何やら電話の受話器に似たものがくっついた入れ物の写真がありますが、携帯電話の形態についての本ではありません。
携帯電話普及以前の発行(1993年刊)ですから。(ちなみに表紙の写真は鼓型の重箱です)
この本は、人が移動するとき持ち歩くモノ(携帯するモノ)の形態を様々な写真と資料で構成して紹介しています。
旅行のための化粧箱、医者の往信用の医療器具収納箱、髪結い職人の道具箱、茶道具が入った茶弁当箱などなど盛りだくさんの収納箱類が紹介されています。文具関連では初代チームデミも載っていたりします。
工房Qは「持ち歩いて使うモノ」を作るという方向性を持っていますし、コンパクトに収納するという思想は工房Qのコレクションのツールカードに通ずるものがあります。
ですからこの本は当工房の宝物と言っていい収蔵物になります。
書籍なので内容の写真の掲載は極力控えますが、ほんの一部をお見せします。(クリックすると拡大表示)
<江戸の旅道具>
旅道具が枕の中に収納されているというのが面白いです。
<手樽弁当>
樽にしか見えませんが、フタを取ると器が入っていて、底の方かお酒が入るようになっているようです。持ち手の上に注ぎ口がある構造。
国内外の品が紹介されていますが、日本人は昔から小さくパッケージングする技術に優れていたことがよくわかります。
収納された道具類もいろいろと工夫されていますが、それらを入れる入れ物の工夫が面白いです。
レザークラフターとしては、こういう入れ物を作るのは最高に楽しい仕事のように思えます。
こういうモノは50年、100年経っても独特の価値が維持していくように思います。(関連記事 100年後の蚤の市で並ぶモノ)
フリストックとか、makimo-noteとか、ペンシルタバネラーDTなどは、入れ物の工夫を楽しんで開発しましたが、もっと多くの道具類を収納する入れ物作りをやりたいものだと、この本を開くたびに思う次第です。
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